2025(令和7年)宅建士一発合格体験記(台湾人・非法律系・働きながらの挑戦)
2025 Nov 27 日本房地產 在日本讀書
「宅地建物取引士(宅建士)」の試験は、台湾でいうところの「不動産経紀人」の試験に少し似ています。日本では、不動産会社(宅建業者)の従業員5人に1人以上の割合で宅建士を設置することが義務付けられており、不動産業を開業するためにも必須の国家資格です。
今回は、これから受験される方々の参考になればと思い、私の勉強法や注意点などをシェアします。 以下は完全に個人的な主観に基づく体験記ですので、あくまで参考程度にご覧ください。
1. 日本語レベルについて
まず、友人によく聞かれるのが「どのくらいの日本語レベルが必要か」という点です。 私自身は、20年前に旧日本語能力試験(JLPT)1級に合格しています。 感覚としては、N1があれば問題ないと思いますが、読解力が特に高い方ならN2でも挑戦できるかもしれません。 一つの目安として、YouTubeで宅建講義を配信している棚田先生の動画を「ストレスなく理解できる」レベルであること。そうでないと、理解が追いつかず、勉強自体が苦痛になってしまう可能性があります。
2. 背景知識について
私自身、日本の不動産投資歴は10年以上あり、物件を見る目(背景知識)はあるつもりでした。しかし、試験にはほとんど役に立ちませんでした(笑)。宅建士試験と投資の実務はあまり関連性がなく、むしろ実務と試験内容が異なる部分もあり、逆に覚え直す必要さえありました。
有利なのは、やはり法律を学んでいる方でしょう。日本の多くの法学部生は在学中に宅建を取得すると聞きます。特に「権利関係」の科目は日本の民法そのものなので、法学部生なら楽勝だと思いますが、非法律系の受験者にとってはここが「ラスボス(大魔王)」です。範囲が広く、深い理解が求められるからです。 逆に、「法令上の制限」(都市計画法や建築基準法など)や「税・その他」は、ひたすら数字を覚える暗記勝負です。 一番簡単なのは「宅建業法」ですが、同時に配点が最も高く、重箱の隅をつつくような細かい問題が出るため、最も完璧に仕上げておくべき科目です。
3. 使用した教材とリソース
私は以下の順序で勉強しました。
• 初学者時代 まず、ゆーき先生の無料講義を一周しました。 https://www.youtube.com/@yuki_takken 非常に分かりやすく、ゼロから学ぶのに最適でした。
• 本格的な学習 棚田先生と小野一輝先生の動画に切り替えました。お二方とも非常に分かりやすいです。棚田先生は解説が詳細でユーモアがあり、民法に関しては小野先生の講義が大好きでした。 https://www.youtube.com/@fudousandaigaku
https://www.youtube.com/@takkensuccess
• テキスト 棚田先生が推薦されていたテキストの中で、私は『宅建士合格のトリセツ』を購入し、これをメインテキストとして読み込みました。一番平易で分かりやすい本だと思います。カバー範囲が足りないという意見もありますが(私も問題を解いていてそう感じました)、それは問題演習で補えばOKです。まずは全体像を理解することが重要なので、この本で正解でした。 (最初は分厚いテキストを買ったのですが、消化不良で挫折しました…トリセツに載っていない部分は、必要に応じて参照する程度で良いと思います)
4. 問題集とアプリ
• 問題集 『宅建士合格のトリセツ 過去問題集』と『ユーキャンの宅建士 きほんの問題集』をやり込みました。ただ、これらに取り組む前に「一問一答」をやるべきでした(順番を間違えて時間をロスしました)。
• 一問一答 市販の参考書も多いですが、私はこちらのサイト(過去問徹底!宅建試験合格情報 https://e-takken.tv/kyozai_step2/)からダウンロードしました。解説はありませんが、ネットで調べればすぐ出てきます。まず一問一答を終わらせてから、過去問演習に入ることを強くお勧めします。
• 過去問アプリ 「宅建 過去問(完全版)」というアプリを使用しました。有料版でも2ドル程度と激安で、解説付きです。移動中や待ち時間にひたすら解きました。 過去問を解き終わったら、また一問一答に戻って復習しました。 過去問は非常に重要です。テキストを読むだけでなく、絶対に過去問を回してください!
5. 勉強時間とスケジュール
日中はフルタイムの仕事があり、休日は子供の相手もしなければならないため、勉強時間は限られていました。そのため、2024年の11月末頃から早めにYouTubeを見始めました。働きながらだと突発的な用事も入るため、想像以上に勉強時間が削られます。早めのスタートで本当に良かったです。
そして強く言いたいのは、「若いうちに取っておくべき!」ということです。 40代での受験は記憶力の低下との戦いでした(泣)。若い頃なら理解=暗記だったのが、今はすぐに忘れてしまいます。写真記憶や語呂合わせもなぜか効かず、ひたすら「覚えては忘れ、忘れては覚える」を繰り返すしかありませんでした。効率は良くなかったと思います。 一般的に300時間必要と言われますが、私は400時間は費やした感覚があります。もちろん、言葉のハンデがあって学習ペースが遅かったというのもあると思います。
時間が足りず、毎週の飛行機移動中も機内で勉強していたところ、チーフパーサーの方が「こんなに熱心に勉強されている方は初めて見ました。ライトを点けさせてください」と読書灯を点けてくれたことがありました。次に会えたら、必ず「受かりました!」と報告したいです。
6. 最後に
全体を通して、宅建試験は決して「難解」ではありませんが、試験範囲が広く、準備に時間がかかります。頭の良さを競うのではなく、「どれだけ真剣に時間と労力を費やせるか」という、資格に対する本気度が試される試験だと感じました。 (理想は試験前2ヶ月間、専業で缶詰になって勉強することですが、社会人には無理ですよね…)
私は試験前の「神頼み」も欠かしません。 今回は台湾・台北の文昌帝君(雙連駅)にお参りし、受験票のコピーを納め、神様から頂いた2B鉛筆で本番に挑みました。 日本では自宅近くの高輪神社で学業成就のお守りを買い、鞄につけていました。ご参考までに。
外国人で法律のバックグラウンドもなく、さらにフルタイム勤務で子育て中という状況でも、毎日コツコツ積み重ねれば合格できました。 皆さんの合格(金榜題名)を心よりお祈りしています!
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